コラム

新人・若手社員の告白シリーズ① 上司や先輩から仕事を教わっているときに、『イラっとした』『モヤっとした』エピソード

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労働人口が少なくなっていく現在、職場に新人を迎え入れられることは、それだけで非常にありがたいことです。しかし、職場の受け入れ体制が不十分な場合、新人の戦力を活かせないばかりか、せっかく採用した新人がすぐに離職してしまう事態を招く恐れがあります。

とくに入社したばかりの新人は、初めに上司や先輩から仕事のやり方を教わるところからスタートし、このときの体験によって職場全体の印象がほぼ決まります。仕事を教えている上司や先輩の言動・態度がきっかけで『この職場で働きたくない』と思われてしまっては、その後のパフォーマンスに悪い影響を与えてしまいます。

そこで本記事では、アンケート調査で集めた新入社員や若手社員が体験した【上司や先輩から仕事を教わっているときにイラっとした・モヤっとした出来事】をご紹介いたします。上司や先輩は何が良くなかったのか、また新人はどのように持ち直せばよいのか、双方の視点での解説もしました。ぜひ参考にしてみてください。

本記事の編集にあたり、2024年3月31日時点で満22歳~25歳の社会人1000名を対象にアンケートを実施しました。質問は「上司や先輩から仕事を教わっているときに『イラっとした』『モヤっとした』エピソードを教えてください(記述式)」です。530名の有効な回答の中から一部をピックアップし、結果として公開させていただきます。

①「こんなことも知らないの?」など嫌味を言われた
  • 未経験での入社から1週間後、分からないことを質問したら「こんなことも分からないの?」と鼻で笑われた
  • 仕事の説明を受けた後「理解できた?」と聞かれたので手順を復唱しようとしたら、「あなたが分かってないのはこちらも分かってるから大丈夫」と呆れて笑うように言われた
  • 出身学校の話をした後、仕事で失敗したときに「いい学校を出てるのに頭悪ぃな」と言われた
上司・先輩の改善ポイント
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上司や先輩のほうが新人よりも社歴が長いのですから、その職場での仕事の進め方を多く知っているのは当たり前です。その事実を指して『仕事の進め方を知らないなんて、あなたはダメだ』と新人を責めることは、相手の立場を考えればたいへん理不尽なことです。
責める意図がなくても、必要もないのに「(私は知っているのに)あなたは知らない」などとあえて口に出してしまうと、新人は『嫌味を言われている』『非難をされている』と受け取ってしまう可能性が高いです。

レジリエンスの高い新人になるポイント
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入社したばかりの時期は、『私はまだ戦力になっていない』と意識してしまい、自身の知識やスキルの少なさに罪悪感を抱いてしまうかもしれません。そのような状況で、目上の人から知識不足を指摘されると、萎縮してしまうのも当然です。
しかし先に述べた通り、新人は仕事の進め方を知らなくて当たり前なのです。言い方はともあれ、上司や先輩からの指摘が事実なのであれば、それを認めた上で【適切な自己肯定】をすると良いでしょう。『知らないことを放置せずに上司や先輩に確認した』という自分の判断を評価してみてはいかがでしょうか。

②まともに教えてくれない・教え方が雑である
  • 一度しか教えてくれない。「大事なことだから一回しか言わないよ、メモして!」と圧力をかけられた
  • 「私の説明を聞きながらやって」とメモを取る間も与えずに15分程度の長い作業をやらされ、「一度教えたからもう聞いてこないでね」と言われた
  • 仕事をきちんと教えてくれず、ミスをしてから「そのやり方じゃダメだ」と怒られた
上司・先輩の改善ポイント
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本来、どうしても覚えてほしい大事なことについては、「相手は本当に覚えてくれただろうか…」と心配になって、何度も確認したくなるはずです。それにも関わらず「1回しか教えない」という教育方法を採る人は、実は『教えるのが面倒くさいから、簡単に済ましてしまおう』という意図を隠している場合があります。職場に新人を迎えるにあたり、教育に手間をかけられない環境にあるのだとすれば、早急に解決しなければなりません。
もしかしたら、新人が真剣に耳を傾けてくれるように、あえて上述のような言い方をする人もいるかもしれません。もし、そのような意図があるのなら「大事なことだから、真剣に聞いて」と率直に伝える方が効果的です。

レジリエンスの高い新人になるポイント
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上でも述べたように、「大事なことだから1回しか教えない」という言葉には、その裏側に『大事なことだから真剣に聞いてほしい』という真意がある場合があります。つまり、上司や先輩が決して意地悪のために言っているとは限らないのです。これはつまり【相手を十分に理解する】ことにあたります。
また、上司や先輩が新人への教育を面倒くさがっている場合、教育担当の個人的な課題(説明が苦手、など)だけが原因だとは限りません。その背景に職場全体の課題(慢性的な人手不足、など)があるケースも多いものです。そういう部分にまで配慮できるようになると、出来事の見え方や感じ方は変わってくるかもしれません。

③新人に対してのみ口うるさく指摘する
  • クレームがきっかけで「レジにカゴを置くときに音を立てないで」と店長が指導した後、新人の私には少しでもカチッと音が鳴ると注意するのに、先輩たちが音を立てても何も言わなかった。
  • たまに出社するだけで進捗を把握していない上司が、すでに私が着手している仕事を「忘れずにやって」と指示してきた。「言ってあげないと気付かない人」として扱われている。
上司・先輩の改善ポイント
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人によって指導の基準が変わるのは、教育担当が信頼を失う大きな理由の一つです。正しいやり方を守っていない部下・後輩がいるのであれば、相手が誰であっても同じ基準で、きちんと教育すべきです。
『ベテランは正しいやり方を理解しているから、放っておいても大丈夫』という考え方は良くありません。なぜなら、組織が本来目指すべきは、メンバー全員が正しいやり方を“理解している”ことではなく“実践している”ことだからです。相手が新人かベテランかに関係なく、正しい仕事のやり方を継続して実践できる段階まで指導を重ねることが、教育担当の仕事だと心得ましょう。

レジリエンスの高い新人になるポイント
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もし『上司や先輩が自分にばかり厳しい』と感じたときは、冷静になって『本当にそうなのだろうか?』と【事実に着目】してみましょう。その出来事に対して抱いた感情や印象をいったん忘れ、客観的な事実(自分は正しく作業をできなかった、など)だけを淡々と振り返っていきます。
起こった出来事だけを整理した結果、『自分にだけ態度が違うと思っていたが、そうでもなかった』『未熟者扱いされたと思っていたが、相手にそのつもりはなかった』など別の捉え方に切り替わったならば、気持ちが楽になるはずです。

いかがでしたでしょうか。
仕事のやり方を教える場面は、新人と上司・先輩との間の最初のコミュニケーションです。初めは未経験の初心者だとしても、時間を重ねていくうちに頼もしい戦力へと成長していきます。そして、その戦力が組織の成果として結実するためには、長い時間をかけて培った「信頼関係」という土台が必要であることを、忘れないでください。

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