コラム
“賃上げ”をしても人件費総額を上げないで済ます具体策5選
中小企業にも賃上げの波が押し寄せていますね。「賃上げした方がいいのか」「周りの会社はどうしているんだろう?」と悩む経営者も多いようです。賃上げは社員のモチベーションアップや人材確保のために重要ですが、ただ単に給与を上げるだけでは、人件費の総額も上がり経営に影響が生じます。人件費の増加は中小企業にとって死活問題です。本記事では「賃上げをしても人件費総額を上げないで済ます具体策5選」を紹介します。賃上げを実施しながらも、永く健全な経営をするために活かして下さい。
賃上げトレンド。中小企業はどう対応しているか?
商工中金の調査によると『2022年、2023年とも、「定例給与・時給」については7割強、「賞与・一時金」については6割弱の中小企業(方針未定等の先を除くベース)が引き上げを実施・実施予定』とあります。
(https://www.shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/230125.pdf)。7割ですから「大半の企業が賃上げを実施する」という状況ですね。周囲の企業が賃上げをしていて自社がしない場合、悪影響も出やすくなります。具体的には、どのようなことが起きるでしょうか?
ピンチ!?賃上げを見送った企業に起こる悪影響4
賃上げを見送ることにより、以下のような悪影響が発生する可能性があります。どうか、他人ごとと目を背けずにお読みください。
社員の耳にも周囲の賃上げの噂は入ってきます。あなたの会社で賃上げを実施しない場合、社員のモチベーションは下がるでしょう。すると、業務の生産性が下がり、業績への悪影響も懸念されます。さらに、社員が周囲の賃上げ状況をネットなどで見かけたら転職を考える可能性も高まります。離職リスクが高まるということ。経営者としては避けたい状況ですね。
ネット社会の今、いい情報も悪い情報も拡がりやすい状況です。給与に不満を持って離職した社員がネット上に匿名で会社の不満を書くことも容易に考えられます。その結果、起きるのが次の悪影響です。
人手不足の現代社会で、優秀な人材の確保は難しくなっています。給料・待遇面で競合他社に負けていると優秀な人材はなかなか採用できません。ネット上に悪評が流れていれば、さらに難しくなるでしょう。
離職者が増え採用が困難になると、採用にかかる費用がかさみます。離職率が高いままであれば、新たな人材の採用と研修教育も必要になり教育費もかさむことになります。
賃上げを見送ることで、賃上げ以上の費用がかかる可能性があるのは恐ろしいですね。それだけでなく、人材が定着せずに会社が弱体化することまで懸念されます。とはいえ、そう簡単に賃上げをできないのが実情ですよね。では、賃上げをしても人件費総額を上げないで済ますことはできないでしょうか?以下に3つ(+おまけ1つ)の切り口をご紹介します。
賃上げをしても人件費総額を上げずに済ます切り口3つ(+おまけ1つ)
人件費の総額は「一人当たりの人件費平均×従業員数」で表されます。賃上げを実施すると「一人当たりの人件費」は高まるので、もう一つの要素「従業員数」を抑えることで人件費総額を抑えることができます。
AIやデジタル機器を積極的に使用することで業務の生産性を高めたり、従業員一人一人の能力向上で生産性を高めたりできれば、少人数でも回る組織になります。
※具体策は、下記①②を参照下さい
賃上げは一律で行う必要はありません。大事なのは社員が納得し、モチベーションを高めて働いてくれることです。賃上げに業績条件を付けたり、成果に応じたインセンティブにしたり、年間の給与総額を変えずに月額の金額を調整したりと、工夫の余地があります。
※具体策は、下記③④を参照下さい
1回きりの賃上げならば、内部留保を引き当ててしのぐことも可能です。でも、賃上げは今後も続きますので、長期的な視点で対策することが大切です。単純に給与を上げるだけでなく、社員の成長を促して生産性を高めることで強い組織になり、継続的な賃上げにも対応できるようになります。そのためには継続的な教育・研修プログラムへの費用は計画しておくべきでしょう。
社員の収入源を増やして、総収入を増やしてもらう切り口です。具体的には下記⑤で紹介します。
では、具体的にはどのような策があるのでしょうか?選りすぐりの対策を5つご紹介します。
賃上げをしても人件費総額を上げないための具体策5
教育研修はとても重要ですが、アルバイトスタッフなどが多い企業ほどその費用はかさみますよね。教育研修費も人件費ですから、削減できれば人件費を抑えることができます。複数のスタッフに対して同じ教育研修をする場合は、動画マニュアルにしておきましょう。一度作ってしまえば、何人に教育しても追加コストはゼロです。ただし、動画マニュアルはポイントを押さえて作らないと、受講者によって作業のバラつきが出てしまいます。「受講者が1人で閲覧して理解し、基準と同じ作業ができる」ようにするには「手順/やり方/終わりの状態/標準作業時間/道具・材料」を明確にすることが大切です。下記は、当社が提供している動画マニュアル制作サービスより「マニュアルに記載されるべき5つのポイント」を解説した記事です。事例を元に動画で解説しております。お役立てください。
この5つのポイントについては、当社が過去に実施した「動画マニュアル作成ノウハウセミナー」でも詳しく解説しております。
※「動画マニュアル作成ノウハウセミナー」の動画は、こちらのページをご参照下さい。
少人数で高い成果を上げるには、一人一人の生産性向上が欠かせません。これまで以上に高い目標が設定されたり、これまで以上に基準の高い仕事が求められたりするでしょう。社員にはこれまでにはなかったストレスがかかることが想像されます。その時に、一度は落ち込んだとしても、すぐにポジティブに捉え直して取り組める心の強さ=レジリエンスが重要になります。漫画のキャラクターのように、自然と高いレジリエンスを発揮することは難しいですが、思考法を身につけることで、レジリエンスの高い人と同じような判断・行動をすることができます。
※レジリエンスの詳細は、こちらのページを参照下さい。
「会社の業績が上がらないのに賃上げをするのは難しい」というのは経営者の本音。でも、「業績が上がるなら、喜んで賃上げするよ」という気持ちはありませんか?業績に応じて、ボーナスを支給する約束をしましょう。業績が上がれば給料が上がる、業績が上がらなければ給料が上がらない。全社で一丸となって業績を上げるのは、本来あるべき姿ですね。
月給制の場合、社員が受け取る給与は「月給×12+賞与(2~4ヶ月分)」です。年俸制を取り入れて、配分を調整することで月額の支給額を上げることが可能です(その分、賞与のタイミングで支給する額を減らす)。社員も、月の支給額が増えれば、貯蓄や投資に回すことができ自由な裁量ができるようになるメリットがあります。
社員の給与に対する不満は月給だけでなく「自分の毎月の総収入」からも生じます。副業を推奨すれば、社員は別の収入減を確保できます。すると社内での残業が減り、割増賃金を抑えることが可能です。自社内だけでなく他でも稼いでもらうという考え方です。ただし、副業を推奨すると会社へのロイヤリティが下がる可能性があります。社員が会社に魅力を感じる求心力を保てるよう企業努力は欠かせません。
その場しのぎではなく、長期に効く仕組みをつくりましょう
いかがでしたでしょうか? 参考になる具体策はありましたか?
1回だけの賃上げであれば「その場しのぎ」でも乗り切れますが、賃上げは今後も続く傾向と予想されます。長期的にも賃金を上げられるよう、今の内から生産性が高まる仕組みをつくることが重要です。魅力的で、社員が永く働き続けたいと思える組織になれば、生産性は高まり賃上げの原資も生まれますよね。ぜひとも短期的な視点だけでなく、長期的な視点を持って取り組んで下さいね。
特に、社員の生産性を高めるためのレジリエンス強化の必要性を感じたら、お気軽に当社にご相談ください。解決策がございます。
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