コラム
新人・若手社員の告白シリーズ⑦仕事のパフォーマンスに影響した“私生活の悩み”

皆さんはイヤな出来事・つらい出来事が起きたとき、すぐに気持ちを切り替えられますか?
気持ちの切り替えがうまくできなかったり、イヤな出来事が何度も起きたりする場合、ネガティブな気持ちが長く続くことになります。もし悩みの原因が仕事中の出来事であれば、プライベートの時間を利用して気持ちを切り替えることもできるでしょう。しかし、それがプライベートにある場合、気分転換の方法はなかなか見当たりません。皆さんの中にも、モヤモヤとした気持ちのまま仕事に臨み、普段のような仕事ができなかった経験のある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、企業で働く社会人を対象に『私生活での悩みによって仕事が手につかなかった経験』について調査し、その結果をご紹介いたします。
本記事の編集にあたり、1000名を対象にアンケートを実施しました。質問は「私生活で生じた悩みによって、仕事のパフォーマンスが下がってしまった経験はありますか?」「それは何に関する悩みですか?(複数回答可)」「悩みの具体的な内容は何ですか?」です。記事内では有効回答として得られた947名の回答の集計結果を公開させていただきます。
はじめに、私生活での悩みが仕事のパフォーマンスに影響を与えた経験の有無を聞いてみました。その結果は以下の通りです。
全体のおよそ半数の方が、私生活の悩みやトラブルによって仕事に支障を来した経験をしたことがあると分かりました。
これを多いと見るか、少ないと見るかは意見の分かれるところでしょう。実際に、私たちは、もっと多くの人が私生活における悩み事の影響を受けていると予想していました。
次に、私生活の悩みの要因と内容について聞いてみました。悩みの要因については『その他』を含む11通りの選択肢から選んでいただき、具体的な内容については自由に記述していただきました。以下の表はその結果をまとめたものです
悩みの要因 | 内容(一部を抜粋) |
---|---|
1.親、兄弟、親戚 | ・ケンカ、仲が悪い ・介護が負担、家族の病気が心配 ・家族の将来が不安 |
2.配偶者 | ・ケンカ、仲が悪い ・家事や育児の分担が偏っている ・介護が負担 |
3.子供 | ・育児の時間が取れない ・進学に関する心配事、子供の将来が不安 ・学校とのトラブル |
4.恋愛 | ・ケンカ、仲が悪い、失恋 ・結婚について悩む、出会いがなくて不安 ・迷惑行為、トラブル |
5.友人、知人 | ・ケンカ、仲が悪い ・トラブル |
6.SNS、インターネット | ・ネガティブな言動に疲れた ・迷惑行為、トラブル |
7.健康状態 | ・病気、けが、精神疾患 ・慢性的な痛み、生活習慣病、アレルギー体質 ・医療費が負担 |
8.お金 | ・生活費が足りない、収入が低い ・投資に失敗した、ローン返済が負担 ・金銭トラブル、相続トラブル |
9.住環境 | ・引っ越し作業が大変 ・生活環境の急激な変化 ・自然災害、公害、獣害 |
10.趣味 | ・依存症になるほどのめり込む、夜更かし ・趣味の時間が取れない、趣味が上達しない |
11.その他 | ・人生について悩む |
悩みの要因としてはごくありふれたものが多く、とくに予想外のものはありませんでした。
これらの結果を見ると、悩みにも様々なタイプがあることが分かります。悩みの原因によっては、単純な『気持ちの落ち込み』だけでなく、体力的・精神的に疲労させられたり、日常生活が脅かされたりなど、気持ちの切り替えだけでは対処できない要素も見受けられます。
私生活での悩みのカテゴリと内容について大まかに紹介しました。では次に、回答者の属性によってどんな悩みを抱えやすいのかを見てみましょう。
回答者の年齢を基に「20代」「30代」「40代」「50代」「60代」に区分けし、傾向を比較してみました。ここでは20代~30代を「若年層」、40代~60代を「熟年層」として解説しています。

若い世代のほうが回答の割合が多かったカテゴリのうち、とくに熟年層との差が大きかったのは『恋愛』でした。また、大きな差はなかったものの、年代が若くなるほど割合が多い傾向にあるカテゴリは『友人・知人』『SNS・インターネット』でした。
いずれも家族(配偶者、子供も含む)以外との人間関係に起因していることが分かります。

若年層よりも回答の割合が多かったカテゴリで、とくに差が顕著だったものは『健康』でした。年齢とともに体の調子も衰えていくのは周知のことなので、当然の結果と言えるでしょう。
また若年層とは対照的に、年配の世代ほど『親・兄弟』の割合が多くなる傾向にあります。一般的に、年齢が上がるにつれてライフステージが変化し、親の介護や遺産相続、実家仕舞い、墓守、墓仕舞い、終の棲家など、家族絡みの問題に直面する人が多くなることから、その分悩む機会も増えている可能性が考えられます。
回答者の性別を基に「男性」「女性」に区分けし、傾向を比較してみました。

男性のほうが回答の割合が多かったカテゴリのうち、最も差が大きかったのは『お金』『健康』でした。細かく年代を分けて見ると、女性の場合は年代が上がるにつれて『お金』の割合が増えていくのに対し、男性の場合はどの年代も高い水準のまま大きな変化は見られません。
また、悩みの具体的な内容に対する回答で、『結婚に対する不安(恋愛)』『生活習慣病(健康)』を挙げたのは男性のみでした。

女性の回答の傾向として最も特徴的なカテゴリは『恋愛』でした。『恋愛』は全カテゴリの中で男女の差が最も大きく、どの年代でも男性の回答者の割合を超えていた唯一のカテゴリでした。
また、悩みの具体的な内容に関する回答を見ると、『恋愛』『SNS・インターネット』のカテゴリで『迷惑行為・トラブル』を挙げる方が多く見られました。残念ながら、相手が女性と見るや「付きまとい」「不適切コメント」などの標的にしてしまう人が少なからずいるのかもしれません。
回答者の結婚状況を基に「未婚者」「既婚者」に区分けし、傾向を比較してみました。

既婚者との差が明確に生じる『恋愛』を除いて、特徴的な傾向が表れたのは『健康』『趣味』でした。一般的に若年層は未婚率が高いため、どのカテゴリも若い年代ほど悩みを抱える割合が多い傾向にありますが、『健康』だけは逆の傾向が見られます。おそらく、体調が悪いときに身近で支えてくれる人がいるか否かが、年齢とともに重大さを増してくるからだと思われます。
また『趣味』の割合が多い理由は、未婚者は時間やお金の自由度が高く、趣味に投じやすい環境にあることから、既婚者と比べて趣味に向き合う機会が多いためであるという可能性が考えられます。

未婚者との違いが明確に生じる『配偶者』『子供』を除くと、既婚者の割合のほうが多かったカテゴリは『親・兄弟』でした。【熟年層の傾向】でも述べましたが、ライフステージの変化により家族絡みの問題に直面する人が多くなることが理由と思われます。他に目立った違いはなく、悩みの内容にも傾向は見られませんでした。
回答者の子供の有無を基に「子供あり」「子供なし」に区分けし、傾向を比較してみました。ただし「未婚かつ子供なし」の回答者は比較対象に含んでいません。

『子供』のカテゴリを除いて、子供のいない人との差がとくに大きかったのは『健康』『お金』でした。『健康』の割合が多い理由は、「年齢層の高さ」によるところが大きいことに加え、「子育てに対する責任感」が相関していると考えられます。回答の中には、子どもが独り立ちする前に「自分に何かがあったらどうしよう」という気持ちが伺えるものも見受けられました。
また、『お金』の悩みに関する具体的な内容を見ると、『生活費の不足』が圧倒的に多く見られました。今回の調査結果では、生活費に関する悩みを挙げた人は、未婚者を除くと全員が子供のいる方であることが分かり、子育て世代のストレスの重さが浮き彫りになりました。

「子供のいない既婚者」に対象を絞って傾向を分析したところ、子供がいる回答者よりも割合の多かったカテゴリはいくつかあったものの、特筆すべき特徴は見受けられませんでした。
回答者の世帯年収を基に「300万円未満」「300万~500万円」「500万~700万円」「700万~1000万円」「1000万円以上」に区分けし、傾向を比較してみました。ここでは2024年に発表された平均世帯年収の値(524万円)および母数のバランスを考慮し、「500万円未満」「500万円以上」のグループに分けて解説しています。

年収帯が低いほど割合が増える傾向にあるカテゴリは、大方の予想通り『お金』でした。具体的な内容を見ると、『生活費が足りない』『収入が少ない』に意見が集中しています。
しかし意外なことに、『生活費が足りない』『収入が少ない』という悩みは、ほぼすべての年収帯において見られました。年収が増えた分、生活水準を上げてしまい、分を超えた暮らしをしてしまうことでストレスを感じる人が多いという実情があるのかもしれません。ただし世帯年収の高い層における『収入』の悩みについては、配偶者など同居家族の収入は高いものの、回答者自身は収入が低いことを悩んでいるという可能性も考えられます。

年収帯が高いほど割合が増える傾向にあるカテゴリは、『配偶者』『子供』でした。一般的に、世帯年収が高いほど結婚や子育ての機会に恵まれやすく、それゆえに悩みを抱える機会も増えているものと思われます。加えて、『夫婦喧嘩』『子供の突然の体調不良』など、お金で解決できないトラブルが生じやすいカテゴリであることも、要因の一つかもしれません。
他にも、高年収の人ほど『子供の進路について』の悩みが多く見られました。“親ガチャ”という言葉が認知されるようになり、子供が自分の進路を決めるにあたって親の年収を気にするのと同じように、年収の高い親ほど我が子の進路には高い関心があることがわかります。年収が低いときには、「年収が高くなれば、多くの悩みから解放されるだろう」と希望を抱いていたものの、年収が高くなったら高くなったで、別の悩みが浮上しているという構図は古くて新しい問題なのかもしれません。
仕事のパフォーマンスに影響を与える私生活の悩みについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
部下や同僚、ひいては上司に至るまで、会社のメンバーの仕事ぶりがイマイチなとき、周囲の人はどうしても「何をしているんだ!ちゃんと仕事して!」ともどかしい気持ちになるでしょう。あるいは「あの人は、集中力や処理能力が足りないのでは?」と、そのメンバーの能力に疑念を抱くかもしれません。
しかし、人が仕事に専念することができるのは、安定した日常生活(と、日常生活を支えるあらゆる人・もの)があってこそです。仕事のパフォーマンスには『能力・スキル』だけでなく『生活基盤』も影響することが分かれば、メンバーへのアプローチの仕方も大きく変わるでしょう。
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