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【人事部の失敗】保険費用増大!短時間労働者の保険適用に無知な担当者が起こすリスクと対策

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「ウチも対象になるってホント?」法改正で拡がる!短時間労働者の社会保険適用

どうやら法改正に無頓着でリスクを見逃している中小企業の人事担当者や経営者が多くいるようです。「短時間労働者の社会保険適用」について対応・準備を進めていますか?これまでは短時間労働者(いわゆるパートさん)の社会保険適用は従業員数501人以上の大会社に限られていたのが、法改正により中小企業も対象になってきたのです。

本コラムでは、下記について解説致します。

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法改正による変更(比較表)
対象 平成28年10月~令和4年9月末日 令和4年10月~(現行) 令和6年10月~(改正)
特定適用事業所 被保険者の総数が常時500人超 被保険者の総数が常時100人超 被保険者の総数が常時50人超
短時間労働者 1週の所定労働時間が20時間以上 変更なし 変更なし
月額88,000円以上 変更なし 変更なし
継続して1年以上使用される見込み 継続して2カ月を超えて使用される見込み 変更なし
学生でないこと 変更なし 変更なし

日本年金機構サイトより引用

本コラム執筆時点(2023年7月)では、被保険者(社員やそれに準ずる方)が101名以上の企業が対象ですが、令和6年10月からは51名以上に変更になります。多くの企業が対象に入ってきます。そして、対象企業だけでなく、対象になる従業員の基準も変わりました。これまでは1年以上の勤務を見込む方が対象だったのが、「2ヶ月」となりました。期間を決めた短期採用以外は、対象になると考えて差し支えないでしょう。
このように法改正によって対象となる企業が増え、対象となる従業員が増えています。この状況に気づいていない人事担当者や経営者には早くお伝えしたいところです。でも、このコラムを読んで下さっているあなたは気づいているので大丈夫!「試行まで、まだ時間があるから大丈夫」と先延ばしにするとリスクは大きくなります。今から準備を進めて参りましょう。

法改正に対応しないと起きる 大きな大きな大きなリスク

この法改正に対応しないとどうなるのでしょうか。大きなリスクが3つあります。

  • リスク1:法的な罰則・加入指導・未払い分の請求
  • リスク2:社会保険未加入の短時間労働者からの信頼失墜
  • リスク3:社会保険料の増加によるコスト負担の増大。経営圧迫
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リスク1に関しては、法律上起こることです。対象企業になったら対応しないといけません。リスク2は今後の採用活用や、離職にも影響します。今後も会社経営を続けるならば、避けなければなりません。
そしてリスク3。本コラムではここに注目します。社会保険の加入対象になるパートさんが増えるので、当然のように企業が負担する保険料も増えます。これが中小企業の経営を圧迫する可能性があります。

あなたの会社の年間経常利益はいくらでしょうか?
経済産業省が発表した令和3年度の中小企業の1企業当たりの経常利益は663万円です
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220330005/20220330005-1.pdf
業種や企業規模などにより差異はあります)

では、短時間労働者の社会保険適用によって、どのくらいの費用負担が増えるでしょうか?

「ウチはどのくらい負担額が増えるの?」目をふさげない金額

企業側が負担する保険料は従業員の賃金や年齢によって異なりますが、一般的には、賃金の約14%程度と考えられます。
東京都を目安にすると、月額の賃金が8万9000円の場合の健康保険料と厚生年金保険料の負担額は、40歳未満の場合であれば1万2368円(1円未満切り捨て)、40歳以上の場合は1万3090円(1円未満切り捨て)です。1年分を合計すると、1人当たり約15万円ということになります。対象者が10人いる企業だったら、年間で約150万円負担額が増えるということ。30名だったら約450万円も負担額が増えることになります。とても無視できる金額ではないでしょう。※金額は状況によって変わります。詳しい額は社労士さんなどに相談ください。

費用負担の増加が迫っている今、どのような準備・対応を進めればいいでしょうか?

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生き残るために、今から準備すべきこと

この費用負担をほっておくと、企業の存続にも影響します。適用が始まる前に準備をしておかなければ、リスクではなく「損」確定となります。社会保険の費用負担が増えることで社内では何が起きそうでしょうか?

おそらく「目標売上(利益)が高く設定される」「コスト管理・業務の生産性がよりシビアになる」という現象が起きるでしょう。同じ従業員数なのに費用が増えるならば、生産性を高めなければなりません。ここに大問題が潜んでいます。

ただ「売上目標が高くなる」「コストカットを厳命」するだけでは、従業員のストレスが大きくなります。ストレスが大きくなれば、会社の居心地が悪くなり離職率も高まります。離職が増えれば、新たに採用活動をしなければなりません。採用コストもかかってきます。採用が困難な状況でこれは避けたいですよね。

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ではどうすればいいか? 高い売上目標や生産性目標でストレスがかかっても、耐えられる心の強さを従業員が持てるようにすることです。具体的には「レジリエンス」という心の強さを高める取り組みをすることが解決策になります。

※レジリエンスとは?詳しくはこちらのページをご覧下さい

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短時間労働者の社会保険適用によって、企業の費用負担は増えますが、この状況をネガティブに捉えるのではなくポジティブに捉えましょう。企業自体のレジリエンスが低かったら、従業員のレジリエンスも高まりませんから。

短時間労働者の社会保険が適用されることでメリットもたくさんあります。たとえば、離職率の低下が見込めます。そして、長期間勤務してくれれば、新たに採用する必要がなくなり採用コストが下がります。それだけでなく業務品質は高まり品質や生産性が高まります。従業員同士の連携も深まり、ステキな人間関係も生み出せます。

社会保険の費用負担は一見リスクに見えますが、捉え方次第でチャンスにもなりえます。
ぜひ、今から準備をしてチャンスに変えてくださいね。

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弊社では、レジリエンスを高めることに特化した研修プログラムを提供しています。
これからを生き抜く企業になるために、必要でしたら気軽に当社にご相談ください

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