コラム
最低賃金でも採用できる!?
“働き方の多様化”で応募者増を目指そう!世代に合わせた具体策5
「人手不足で休業します」「人手が足りずに営業時間を短縮しています」
飲食店にこのような貼り紙が貼られているのを度々見かけるようになりました。多くの企業や店舗で人手不足が悩みのタネになっているようです。原材料や電気代などの高騰で経費が高まる中、賃上げトレンドも企業にとっては大きな課題となっています。
アルバイトスタッフの募集を行う際に、時給を高くすれば応募者数が増えやすいのは誰もが分かっていること。とはいえ、時給制度は既存スタッフにも関わるので簡単に変更できるものでもありません。企業としては都道府県の設定する最低賃金付近で採用できるなら、ありがたいのが本音でしょう。
アルバイトスタッフの主要層は、Z世代の学生層、主婦層、シニア層が中心かと思います。また最近は副業としてアルバイト先を探す人も増えていますね。
本記事では、主にZ世代の価値観と採用時の訴求ポイントを中心に、他の層についての訴求ポイントも具体的な案を提示します。「最低賃金」と銘打っていますが、本当の目的は【視点の切り替え】にあります(本記事の最後にまとめますね)。参考にして応募者増を目指して下さいね。
まずはZ世代の価値観から見ていきましょう。これを知らないままで採用の成功は難しいですから。
令和の主戦力“Z世代”は価値観が違う? 最低賃金でも応募してくれる?
「最近の若いスタッフはメモを取ろうとしない」「お店が忙しくても、シフト終了の時間になったら周囲の状況を気にせずに帰ってしまう」「当日に欠勤の連絡をしてくるから、シフトに穴が開いて困る」という悩みを抱えている現場責任者の方が多いようです。
この状況を「最近の若い者は…」で済ませては何も変わりません。30代以上の世代の価値観と、20歳付近のZ世代の価値観はだいぶ異なります。育ってきた社会環境が違うので価値観が違うのは当たり前のこと。それを理解し採用活動に活かしましょう。実際に【時給以外を重視してアルバイト先を選ぶ】人も増えているようです。仮に時給が最低賃金くらいだとしても、アルバイト先の選択肢に入ることが増えることが期待できます。時給制度を変えるのが難しければ、まずはZ世代の価値観に合う訴求をしてみましょう。
学生がアルバイト先を選ぶ基準についての「平成と令和の違い」
ジョブズリサーチセンターの調査結果によると、2018年と2023年のアルバイト探しの重視項目に変化が見られます。
2023年(令和5年) | 2018年(平成30年) | |
---|---|---|
1 | 勤務時間帯 | 勤務日数(休日、休暇) |
2 | 通勤時間(通いやすさ) | 勤務時間帯 |
3 | 勤務地 | 給与 |
4 | 勤務日数(休日、休暇) | 仕事内容(職種) |
5 | 勤務時間数 | 勤務時間数 |
引用元 https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20230224_2612.html
2018年時点では、給与(時給)や仕事内容を重視する人が多かったのに、2023年では上位5項目に入っていません。変わって入ってきたのが「通勤時間・勤務地」です。これはZ世代の価値観・特長の表れだと読み取れます。
どうしてZ世代の価値観は違うのか。
Z世代は1990年代後半~2012年ころに生まれた世代を指します。この世代の特長を3点にまとめると下記のようになります。
物心がついた時からインターネットやスマホが手元にある環境で育った世代です。コミュニケーションの取り方もデジタルを介して行うことが当たり前で育ってきました。上の世代が「なぜLINEでの連絡なんだ!こういう時は電話で伝えるのが常識だろ」とイラ立っても、その常識は【前の世代の常識】なだけです。デジタルコミュニケーションに寛容かどうかは、採用に大きな影響を及ぼすポイントになります。
SNSなどで社会に向けて発信をしたり、個人の発信を受信したりする機会が多く、自己表現や個性を大切にする傾向があります。SNSでの炎上をよく目にしていることもあり、摩擦が起きそうなことは避け、周囲と対立しないようお互いを尊重する傾向が見られます。
また、ワークライフバランスも重要視していて、仕事とプライベートを切り分けるのも特長です。
この点を理解しているかどうかが採用活用に影響を与えます。上記の「アルバイト探しの重視項目」で「勤務時間・勤務地」が上位に入っているのは、プライベートとのバランスを大事にしているからと読み取れますね。
Z世代は環境問題や社会問題にも敏感な傾向があります。物資に不足しない時代で育っているので、自分の事だけでなく周囲の事にも意識が向きます。アルバイト先が社会貢献に取り組んでいるならば、誇りをもって働いてくれるでしょう(ただし、口だけの社会貢献は逆効果)。
では、いよいよZ世代の応募を増やす具体策を紹介いたします。
Z世代の応募を増やす具体策
LINEでの応募やWEB上での応募など、スマートフォンだけでアルバイトの応募が完結できるように整備しましょう。企業側・お店側の年配担当者は「電話してほしい」と思うかもしれませんが、Z世代にはスマホでのコミュニケーションが当たり前ですから。デジタルでの応募体制が整っていないだけで、仕事先の選択肢から除外されることもあります。
ここが肝です。プライベートを重視したいZ世代は、急な予定が入った時に「アルバイトよりもプライベートを優先したい」と思う人もいます。「当日欠勤の連絡が増えた」と感じるのは、この影響かもしれませんね。「当日欠勤なんてあり得ない!」と言っていても始まりません。価値観が違うのですから。その価値観のZ世代といかに共存できるかを考えましょう。
たとえば、下記のような案はいかがでしょうか?
★シフトの提出サイクルと1カ月単位ではなく、1週間単位にする
「1カ月先の予定なんて分からない」という隠れた不満を無くす目的です。「予定を入れるなら仕事優先だろ」というのは古い価値観ですよ。
★「〇日前までなら、シフトキャンセルOK権」を月1回ずつ付与する
タイミーなどの活用で業務が回る状況であれば、このような仕組みもいいのでは?この権利を持っていたら、「融通を利かせてくれる仕事先」に見えるでしょう。
★「穴うめ救世主スタッフ」として何人か採用する
レギュラーでシフトに入るわけではなく、急な人手不足の際にスポットで勤務するスタッフです。掛け持ちも大歓迎での採用。タイミングが合えば、働き手にとっても、自分の時間を有効に使えてうれしい仕組みになります。
服装などで自由な範囲を設けてみる。業種によって許容範囲は異なりますが、オシャレを楽しみたい方には嬉しい条件になります。また、様々な人が個性を発揮して活躍している様子を伝えれば、魅力的な働き先に見えるでしょう。
企業が目指す未来をハッキリと伝えたり、実施している社会貢献活動を訴求したりすること。共感が生まれたら魅力的な働き先に見えるでしょう。
プライベートを重視するZ世代はタイパ(タイムパフォーマンス)も重視する傾向が高いです。仕事を教わる際に、マンツーマンで教わるOJTが大切なのはもちろんです。でも、教えている間にもお客さまに呼ばれて対応するなどして効率が落ちる場合があります。効率的に教えるには、部分的にでも業務マニュアルを動画にしておくことが有効な手段となります。働き手が自分のペースで学ぶことができれば、ストレスも生じずに効率も高まります。※1
その他の層への訴求ポイント3
アルバイト・パートスタッフはZ世代ばかりではありません。主婦層、シニア層、副業層なども大切な存在ですよね。これらの方々にも「ココナラ働きやすそう」と感じてもらうための切り口を3つ紹介いたします。
「働きたいけど、子どもがいるから長時間働けない」「働きたいけど、長い時間は難しいから短時間が良い」という方向けに、1日2~3時間でもOKな働き方を提案
「働きたいけど、子どもが熱を出したら急に休まないといけない」という懸念点があり応募できない方も多くいます。前述の「穴埋め救世主スタッフの仕組み」が機能していれば、急なシフト変更も受け入れやすくなります。この仕組みがあれば、働き手も安心して応募できるようになります。
副業でアルバイトを探す方も増えています。別の仕事(本業)を持っている方なので、何かしらのスキルを持っている場合が多いでしょう。そのスキルを現場で活かしてもらえたら企業にとってもプラスになります。特殊スキル手当などの仕組みを導入すれば、副業での応募が期待できます。
変化に対応する現場スタッフの心のケアも重要
価値観の異なるスタッフ同士が働く職場では、どうしても心理的なストレスが生じます。以前にも増して、そのストレスは顕著になるでしょう。ストレスとうまく付き合うための心の強さ「レジリエンス」を高めることも、ますます大切になっていくでしょう。※2
まとめ
いかがでしたでしょうか?Z世代の価値観や特長と採用時の訴求ポイントを中心にまとめました。もし、まだ取り入れていない視点があれば、ぜひこの機会に検討してはいかがでしょうか?
本記事は「最低時給でも採用できる!?」と銘打ちました。最低賃金での採用が確実とは言い切れませんが、今は時給以外を重視して働く先を決める方も増えていますので、期待できます。
そもそも、最低時給でも採用したいのは【企業側のニーズ(?)】ですよね。それよりも【働き手のニーズ】に寄り添って訴求をしましょう。きっと、これまでとは違った手応えが得られるでしょう。参考になる点があれば、幸いです。
※1 当社では、動画マニュアル制作サービスを提供しています。詳しくはこちらのページをご参照下さい
※2 当社は「レジリエンス研修」を大得意にしています。必要性を少しでも感じたら、まずはご相談下さい。
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